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一般健康診断における健康診断項目の取扱い等について
平成29年8月4日基発0804第4号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
最終改正 令和8年4月28日基発0428第10号
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第66条に基づく一般健康診断(労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「規則」という。)第43条に基づく雇入時の健康診断、規則第44条に基づく定期健康診断、規則第45条に基づく特定業務従事者の健康診断及び規則第45条の2に基づく海外派遣労働者の健康診断をいう。)については、これまでに高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)に基づく特定健康診査の在り方等の検討、「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」や「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会」を開催し、検討してきたところである。
ついては、本検討を踏まえて、規則に基づく上記の健康診断の健康診断項目に関する取扱い、留意事項等を下記のとおりとしたので、関係者への周知徹底を図るとともに、的確な実施に遺憾なきを期されたい。
なお、下記については、特定健康診査の新たな取扱い等と併せて実施することが必要であることから、特定健康診査との整合性を取った血中脂質検査、血糖検査、尿検査等については、平成30年4月1日からの取扱いとすること。
記
1 肝機能検査
ALT、γ-GTは、肝機能障害の把握とともに、虚血性心疾患、脳血管疾患等の発症予測能があるとされたため、医師からの意見聴取の際及び必要な措置を講じる際に留意すること。
なお、事業者や労働者に手交する健康診断の結果に記載する肝機能検査の酵素名については、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和8年厚生労働省令第89号)により、名称が変更されているところであるが、必要に応じ、新名称と旧名称を併記する等しても差し支えないこと。
2 血中脂質検査
血中脂質検査は、引き続きLDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライドを項目とする。LDLコレステロールの評価に当たっては、フリードワルド式によって総コレステロールから求める方法(ただし、トリグリセライド400mg/dl以上や食後採血の場合にはNon-HDLコレステロールにて評価する。)、又は、本検査の円滑な実施等のため、LDLコレステロール直接測定法によることも引き続き可能とする。
LDLコレステロールを、フリードワルド式によって総コレステロールから求める場合には、健康診断個人票の備考欄に総コレステロール値を分かるように記載するとともに、トリグリセライド400mg/dl以上や食後採血の場合にNon-HDLコレステロールにて評価する場合には、備考欄にNon-HDLコレステロール値を分かるように記載すること。
よって、血中脂質検査においては、HDLコレステロール及びトリグリセライドとともに、本人の状況等を産業医等の医師が判断して総コレステロール又はLDLコレステロール(直接測定法)を選択した3データを測定する。この際、備考欄に、食後からの採血時間を記載すること
なお、トリグリセライド(中性脂肪)の量の検査については、やむを得ず空腹時以外に採血を行った場合は、随時中性脂肪により検査を行うことを可とする。
注)
・フリードワルド式によるLDLコレステロール=総コレステロール-HDLコレステロール-トリグリセライド/5
・Non-HDLコレステロール=総コレステロール-HDLコレステロール
3 血糖検査
血糖検査は、空腹時血糖又は随時血糖によることを原則としてきたが、ヘモグロビンA1c検査を行った場合についても、血糖検査を実施したものとする。
また、ヘモグロビンA1c(NGSP値)を測定せずに随時血糖による血糖検査を行う場合は、食直後(食事開始時から3.5時間未満)を除いて実施することとする。
4 貧血検査
貧血検査(血色素量及び赤血球数の検査)の医師による省略の判断においては、貧血は、高齢期のみならず、若年の女性にも一定程度見られることから、7(1)の留意事項に留意すること。
5 尿検査及び血清クレアチニン検査
尿検査については、尿中の糖及び蛋白の有無の検査を実施しているが、血清クレアチニン検査については、長時間労働による発症リスクがある慢性腎臓病を検査するものであること。なお、健康診断個人票(規則様式第5号)に記載するeGFRの計算方法は同様式の備考欄に記載しているほか、安衛則第52条において労働基準監督署長に報告することとしている血清クレアチニン検査の有所見者数はeGFRの値を用いて判断すること。
6 胸部エックス線
健康診断機関や事業者においては、胸部エックス線検査の結果を踏まえ、結核感染が疑われる者に対して医療機関への速やかな受診勧奨を行うこと。
7 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
「他覚症状」に関するものについては、昭和47年基発第601号に基づき、受診者本人の訴え及び問視診に基づき異常の疑いのある事項を中心として医師の判断により検査項目を選定して行うとしているが、その際の選定して行う検査項目は、打診、聴診、触診などの臨床診察的な手法による検査であること。
特殊健康診断の対象とされていない化学物質を取り扱う労働者については、必要に応じて事業者と健康診断を実施する医師等が連携し、安全データシート(SDS)で記載されている健康影響が見られるか否か等の調査を行うことが重要であることに留意すること。
8 健康診断を実施する場合の留意
(1) 一部においては、血液検査等の省略の判断を医師でない者が一律に行うなど、適切に省略の判断が行われていないことが懸念される。規則第44条第2項及び同項を準用する規則第45条第3項により、厚生労働省告示に基づく、血糖検査、貧血検査等を省略する場合の判断は、一律な省略ではなく、経時的な変化や自他覚症状を勘案するなどにより、個々の労働者ごとに医師が省略が可能であると認める場合においてのみ可能であること。
(2) 健康診断の実施を委託する場合には、委託先の健康診断機関が、精度管理を含め健康診断を適切に実施しているかについての報告を求める等適切な管理を実施すること。
9 その他
(1) 労働者が健康診断時に医療機関で治療中である場合には、その際の健康診断は、労働者本人の負担を軽減する観点から、胸部エックス線写真など主治医において既に取得されているデータを取得、活用し診断すること。
(2) 法第66条の4に基づく医師等からの意見聴取の対象となるか否かを示す健康診断個人票の「医師の診断」の欄に記入する際には、健康診断項目のいずれかに所見があった場合、経時的な変化も勘案して記入すること。