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労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について
令和8年2月17日労災発0217第1号
(都道府県労働局長あて厚生労働省大臣官房審議官(労災、賃金担当)通知)
令和8年度における労災補償業務の運営に当たっては、特に下記に示したところに留意の上、実効ある行政の展開に遺憾なきを期されたい。
記
第1 労災補償行政をめぐる状況への対応
労災補償行政は、被災労働者等に対して迅速かつ公正に必要な保険給付等を行うことを使命としている。この使命を果たすためには、業務に従事する職員一人ひとりがこの役割を自覚するとともに、近年の労災保険の新規受給者数の増加など、社会の変化に伴う労災請求状況に応じ柔軟に業務の改善を図り、セーフティネットとしての役割を果たしていくことが重要である。
とりわけ、昨今は過労死等や石綿関連疾患などの業務上疾病に対する国民の関心が高く、令和6年度における過労死等に係る労災請求件数は4,800件以上に上るほか、石綿関連疾患に係る労災請求件数は1,500件以上、特別遺族給付金に係る請求件数も300件以上に上るなど、多くの事案処理を求められている状況にあるところ、引き続きこれらの労災請求事案に適切に対応していく必要がある。
以上を踏まえ、令和8年度においては、特に次の事項に留意しつつ、労災補償行政を推進することとする。
① 長期未決事案の早期解消と発生防止等
② 業務上疾病事案に係る的確な労災認定
③ 業務実施体制の確保及び人材育成、デジタル化の推進
第2 長期未決事案の早期解消と発生防止等
1 長期未決事案の早期解消と発生防止
請求書受付後6か月を経過して未決定となっている事案(以下「長期未決事案」という。)については、依然として高い水準で推移しており、長期未決事案の早期解消及び発生防止は喫緊の課題である。従前から組織的な進行管理と効率的な調査の実施を指示しているところであるが、引き続き、労働基準監督署(以下「署」という。)管理者(署長及び労災担当課長等をいう。以下同じ。)は、長期未決事案の発生防止に向け、効率的な調査計画の策定、初動調査の早期着手の指導等を徹底するとともに、事案検討会等を通じ、長期未決の原因を把握した上で、各調査項目について期限を付して具体的な指示を行うこと。併せて、都道府県労働局(以下「局」という。)管理者(労働基準部長、労災補償課長及び労災補償監察官等をいう。以下同じ。)は署長管理事案及び局管理事案を的確に把握し、局事案検討会を通じて、隘路になっている点を明確にした上でその点が解消されるよう必要な指示や支援を行うこと。
また、長期未決事案はその多くが過労死等の複雑困難事案であることを踏まえ、各局においては効率的な調査を実施するため主体的能力に応じた処理体制を構築し、局業務実施計画等に具体的な処理手順や局署の連携方法を盛り込むこととなっているが、長期未決の解消が進展していない局にあっては、その原因を分析・検証し、必要に応じ処理体制、具体的な処理手順、局署の連携方法について、見直すこと。
さらに、過労死等事案の進行管理に当たっては、後掲の関係部署との連携が円滑に進むよう署管理者が労災部署と監督部署の調整を確実に行うこと。
2 業務効率化
過労死等事案に係る労災請求件数の増加や、長期未決件数の推移等、各局の実情等を踏まえ、以下に示すとおり、進行管理、個別事案の調査等の事務処理の効率化、システムによる進行管理、電子決裁の促進等による更なる業務効率化を図ることとしている。
各局においても、自局の状況を勘案し、効率化すべき業務の洗い出し、効率化に必要となる通達の見直し等の検討、本省協議等、業務の効率化に向けて積極的に取り組むこと。
なお、以下に示した業務効率化の詳細については、別途通知する。
(1) 調査計画の策定等の進行管理について
① 局署の実情や個別事案の内容に応じて調査計画策定及び修正の簡略化
② 調査計画策定時に必須としていた事案検討会について開催の省略あるいは柔軟な時期の開催等への緩和
③ 主に複雑困難事案を対象として、調査計画や処理経過簿、調査結果復命書をシステム(労災認定業務支援ツール)により作成し、電子決裁、進行管理等を行うことによる事務処理の効率化
(2) 事務処理の効率化
① 申立書、電話録取を活用した聴取調査の更なる効率化
② 精神障害事案に係る専門医意見を活用することによる処理の迅速化
③ 請求書審査に係る効率化
④ 調査結果復命書作成の簡略化
⑤ 労働者災害補償保険診断書様式(障害(補償)等給付請求用)の見直し
第3 業務上疾病事案(複数業務要因災害含む。)に係る的確な労災認定
1 過労死等事案に係る的確な労災認定等
(1) 労災認定基準の適切な運用
過労死等事案については、脳・心臓疾患の労災認定基準又は精神障害の労災認定基準に基づき、適切に労災認定を行うこと。労働時間は、脳・心臓疾患における業務の過重性や精神障害における業務による心理的負荷の強度の評価に係る重要な要因であって、その的確な把握・特定は、適正な労災認定に当たり必要不可欠なものである。労災認定における労働時間は、労働基準法上の労働時間と同義であり、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであることに留意しつつ、令和3年3月30日付け基補発0330第1号「労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集」を参考に、業務による負荷の評価の観点から労働時間を認定すること。
なお、個々の事案における労働時間の特定に当たっては、平成30年3月30日付け基監発0330第6号、基補発0330第5号(最終改正:令和3年9月15日)「過労死等事案に係る監督担当部署と労災担当部署間の連携について」(以下「連携通達」という。)に基づき、タイムカード、事業場への入退場記録、パソコンの使用時間の記録等の客観的な資料を可能な限り収集するとともに、上司・同僚等事業場関係者からの聴取等の必要な調査を行い、監督部署と協議を行った上で、労災部署において的確に労働時間を特定すること。その際、客観的な資料が存在しない場合であっても、聴取内容等から労働者が使用者の指揮命令下において実際に労働していたと合理的に推認される場合には、監督部署と協議の上、当該時間を労働時間として特定すること。
(2) 過労死等事案に係る関係部署との連携
過労死等事案については、被災労働者等の迅速かつ公正な保護のみならず、その発生・再発を防止するための対策が労働基準行政における重要な課題となっている。
このため、署管理者は、上記第2で示した事項に加え、連携通達及び平成29年3月31日付け基発0331第78号(最終改正:令和5年12月28日)「『過労死等ゼロ』緊急対策を踏まえたメンタルヘルス対策の推進について」等を踏まえ、労災部署において把握した情報や決定を行う見込みの時期を含む決定に関する情報が監督・安全衛生部署に共有されるよう、監督・安全衛生部署と密接な連携を図ること。
また、局管理者は、過労死等事案に係る調査の進捗及び労災部署と監督・安全衛生部署における情報共有等の状況について的確に把握し、労災部署と監督・安全衛生部署における情報共有や協議が確実になされるよう署管理者に対し必要な指示を行うとともに、社会的に注目を集める可能性の高い事案については、時機を逸することなく本省への所要の報告を徹底すること。
さらに、過労死等の支給決定事案については、令和5年12月28日付け基監発1228第1号、基補発1228第1号、基安労発1228第2号「過労死等防止計画指導の実施等を踏まえた過労死等の労災保険給付支給決定事案に係る請求人への説明について」に基づき、再発防止の指導のため支給決定の事実を当該企業に対して説明することがあること等について、請求人への説明を確実に行うこと。
あわせて、精神障害に関し「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」を主な具体的出来事として心理的負荷の強度の評価を行った支給決定事案については、令和3年9月10日付け事務連絡「心理的負荷による精神障害に係る労災支給決定事案の情報提供について」に基づき局雇用環境・均等部(室)に適切に情報提供すること。
(3) 精神障害の長期療養者に係る社会復帰支援
令和6年12月26日付け基補発1226第2号「精神障害の長期療養者に係る社会復帰支援について」において、市町村や公共職業安定所と連携した社会復帰支援の手法を示したところであり、令和6年度の取組においては、長期療養者が就労移行支援を利用する意向を示して就労移行支援事業所を訪問するに至った例も見られるところである。
他の行政機関と連携して精神障害の長期療養者を社会復帰につなげることには大きな意義があるが、まずは主治医と長期療養者からの理解を得ることが重要であるため、調査及び意向確認を行うに当たっては丁寧な説明に努め、社会復帰につながるよう一層の取組促進を図ること。
2 石綿関連疾患に係る的確な労災認定
(1) 調査上の留意点
ア 石綿関連疾患に係る医学的意見の的確な徴取
石綿関連疾患において、認定基準の対象疾病に該当するか否か、石綿ばく露の指標となる胸膜プラーク等の医学的所見が認められるか否かについては、労災認定の重要な要件であることから、その判断に当たっては、主治医の意見だけでなく、地方労災医員等の意見を徴すること。
また、平成23年3月31日付け基安労発0331第1号・基労補発0331第2号「石綿ばく露作業による労災認定等事業場の公表に係る石綿肺の取扱い等について」の記の第2に基づき、石綿肺か否かの地方労災医員等からの意見聴取等の調査を的確に実施するとともに、その結果を調査結果復命書等に記載すること。
さらに、主治医と地方労災医員等の見解が異なる場合等については、令和2年3月27日付け基補発0327第2号「石綿確定診断等事業について」に基づき、速やかに、石綿確定診断委員会に対して確定診断の依頼を行うこと。
イ 石綿ばく露作業の的確な把握
石綿ばく露作業従事歴は、労災認定を行う上で重要な調査事項であるとともに、その的確な把握は、迅速な認定にも資するものである。このため、石綿ばく露作業の調査に当たっては、平成17年7月27日付け基労補発第0727001号「石綿による疾病に係る事務処理の迅速化等について」及び平成24年9月20日付け基労補発0920第1号「石綿による疾病の業務上外の認定のための調査実施要領について」に基づき、被災労働者の雇用等の事実を確認の上、石綿ばく露作業に係る従事歴や作業内容(平成24年3月29日付け基発0329第2号「石綿による疾病の認定基準について」の記の第1の2に定める「石綿ばく露作業」のいずれに該当するかを含む。)について、事業場関係者等から聴取する等により、可能な限り詳細に把握すること。
また、請求人の申し立てる石綿ばく露作業の確認に当たっては、厚生労働省ホームページに掲載している「石綿ばく露作業による労災認定等事業場一覧表」等も活用し、的確な調査に努めること。
調査実施要領の別添調査票に記載する情報については、石綿ばく露作業の有無にかかわらず、全ての職歴を記載した上で、調査で把握した石綿ばく露状況等を漏れなく記載することとし、労働者ではない一人親方等の期間の作業歴や作業内容、職種、喫煙歴等についても、調査において把握した場合には記載すること。
最終ばく露事業場の特定に当たっては、石綿労災認定等事業場の公表を考慮し、当該事業場における石綿ばく露作業の実態を的確に把握することとし、最終ばく露事業場であるか否かの判断、石綿ばく露作業の有無及び従事期間等に疑義が生じたものについては、必ず本省に協議又は相談すること。
さらに、局においては、本省への協議又は相談に当たり、医学的資料の収集及び石綿ばく露作業従事歴等の調査が、調査実施要領に基づいて適切に実施されているか確認し、不足が認められる場合には署に対して適切な指導を行い、必要な調査を実施させた上で、協議又は相談を行うよう徹底すること。
なお、上記の調査等は、「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」(令和3年法律第74号)に基づく給付金等の迅速な支給を図るため、令和3年12月1日付け基管発1201第1号・基補発1201第1号「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律に係る情報の提供について」により実施している「労災支給決定等情報提供サービス」の際、重要な情報となるものであり、適切な対応が求められていることに留意すること。
(2) 石綿関連疾患に関する労災補償制度等の周知
ア 石綿労災認定等事業場の公表
石綿労災認定等事業場の公表は、国民に対し石綿による健康被害の救済に必要な情報を十分かつ速やかに提供するため、石綿による健康被害の救済に関する法律(平成18年法律第4号)第79条の2第1項に基づき、毎年実施しているものであり、正確な情報の公表が重要であることに留意するとともに、公表対象事業場に対しては、業務上外の調査又は支給決定後に、公表の趣旨について丁寧に説明し、公表の理解が得られるよう努めること。
イ 労災保険指定医療機関等への周知
石綿関連疾患については、がん診療連携拠点病院をはじめとした労災保険指定医療機関等に対して、労災補償制度等に関するパンフレットや石綿ばく露歴などのチェック表(以下「周知用資料」という。)を配布し、医療機関を通じた制度の周知を行うことが重要であるので、引き続き、周知の徹底を図ること。
特に、新規の労災保険指定医療機関に対しては、周知用資料等を活用することにより、制度周知を確実に行うとともに、石綿労災認定等事業場に対しては、引き続き、退職労働者等への労災補償制度の周知を実施するよう依頼すること。
また、下記(2)ウの建設アスベスト給付金制度に関するパンフレット、リーフレットを併せて配布し周知を行うこと。
ウ 建設アスベスト給付金制度の周知等
建設アスベスト給付金(以下「給付金」という。)制度の周知については、令和4年1月19日付け基発0119第1号(最終改正:令和8年2月12日)「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等支給要領について」及び同日付け基発0119第3号「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律等の施行について」に基づき、給付金制度の対象となる可能性がある者等に対するパンフレットの交付などにより給付金制度に関する周知、相談対応等を適切に実施すること。
併せて、給付金の請求に先んじて労災の請求を行うよう勧奨するとともに、令和3年12月1日付け基管発1201第1号・基補発1201第1号「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律に係る情報の提供について」及び令和6年10月2日付け事務連絡「「労災支給決定等情報提供サービス」の実施に係る労災認定等資料の本省報告等について」に基づき、適切に実施すること。
3 その他の業務上疾病事案に係る的確な労災認定等
(1) 電離放射線障害事案に係る調査上の留意点
認定基準において本省にりん伺することとされている事案については、認定基準別添の調査実施要領に基づき調査することとされているところであるが、本省にりん伺する際には、特に、当該労働者の職歴における放射線業務の有無、被ばく線量及び安全防護の状況等も含め、調査実施要領に基づいた調査が行われているかを確認し、不足がある場合は署に対して適切に指導を行うこと。
(2) 関係部署との連携
化学物質による疾病等の労災認定に当たっては、原因物質の特定、当該物質のばく露量やばく露作業の態様等のばく露状況等を詳細に把握する必要があることから、より一層効率的かつ的確な調査を行うため、監督・安全衛生部署と情報共有するなど緊密な連携を図ること。
また、じん肺管理区分が管理1と決定された者又はじん肺管理区分の決定を受けていない者から原発性肺がんに係る労災保険給付の請求があった場合、業務上外の判断に当たっては肺がんの症状確認日以前のじん肺管理区分の状況を認定要件としているため、安全衛生部署との連携を図り、原発性肺がんの症状確認日以前のエックス線写真を用いて、じん肺法第15条第1項によるじん肺管理区分の決定申請(以下「随時申請」という。)を行うよう指導し、当該随時申請による管理区分の決定を待って事務処理を行うことを徹底すること。
第4 労災補償業務の実施体制の確保と人材育成、デジタル化の推進
1 業務実施体制の確保
厳しい定員事情や行政経費に係る予算事情など、行政を取り巻く環境が依然として厳しい中、労災補償業務の迅速かつ公正な事務処理を行うためには、局署一体となって実施体制を確保する必要がある。
そのため、本省においては、コールセンターをはじめとする外部委託等において、対象となる署の拡大を進めているところであるが、局署においては、再任用職員や非常勤職員も含め、従来の業務分担に囚われない職員全体の業務分担の見直しを行い、効率的な事務処理体制を整えること。また、局内の行政需要に応じた応援体制を構築するなど、業務実施体制の確保を図ること。
2 人材育成
将来にわたって労災補償業務の迅速かつ公正な事務処理を実施していくためには、労災補償業務に精通した人材の確保を念頭に、職員の育成及び資質向上を図ることが不可欠である。
このため、労災補償業務の中心的な人材となり得る職員については十分な労災補償業務の経験を積ませるとともに、地方労働行政職員研修計画に基づく基礎研修や専門研修をはじめとした中央研修を計画的に受講させるほか、局内研修やブロック研修、再任用職員を活用した研修等を開催し、業務に必要な知識を確実に付与すること。
特に、若手職員や社会人選考採用職員等の労災補償業務の経験年数が少ない職員については、労働大学校ホームページ上の「労働行政職員オンライン公開講座」における中央研修の基礎的な講義動画を積極的に活用しながら、局署におけるOJTなどの研修を行うことにより、業務に必要な基礎的な知識・経験を積ませること。
また、主任労災・労働保険専門員等の非常勤職員においても、より高度な労災補償業務に携わる機会があることから、可能な範囲で研修等を受講させること
なお、本省においては、各局において労災補償業務の中核を担う職員に対する「中核人材育成研修」を実施していることから、局管理者においては、趣旨を踏まえた対象者を選定し、積極的に本研修を活用すること。
3 デジタル化の推進
(1) 労災認定業務支援ツールの活用
労災認定業務支援ツールは、過労死等の複雑困難事案を一元管理・可視化し、調査等で必要となる調査計画書等の各種文書作成支援、統計作業の自動化等により、効果的かつ効率的な事務処理を図ることを目的としているものであり、平成30年度から令和4年度にかけて試行的運用を実施し、令和5年度に機能改善を図るための全局アンケート調査等を実施し、各局の要望を踏まえつつ、今般、システム開発を進めているところである。令和8年4月1日からの稼働を予定しているので、追って指示するところにより適切に活用すること。
(2) 労災申請アシストサイト(仮称)の構築等
労災請求については現在も電子申請の仕組みを整備しているところであるが、手続きの煩雑さ等により電子申請率は低調となっているが、電子申請の更なる向上を図り、被災労働者等の手続き負担の軽減や、職員の事務処理の効率化を図るため、現在、初期段階として様式第8号(休業補償等給付の請求(業務災害・複数業務要因災害)・継続)及び様式第16号の6(休業給付の請求(通勤災害)・継続)を対象に、システム開発を進めているところである。令和8年度中の稼働を予定しているので、追って指示するところにより適切に対応すること。
また、各局で行う審査業務や診療費審査委員会の運営方法について、可能な限りペーパーレスによる対応へ移行し、審査資料や会議資料等の印刷を抑制することで、行政文書の電子的管理実施率向上に寄与するほか、業務の効率化を積極的に進めること。
第5 労災補償業務の適正な事務処理の徹底
1 基本的な事務処理の徹底
労災保険給付の事務処理については、労災保険給付事務取扱手引(以下「給付事務手引」という。)等により指示しているところであるが、今後とも適正な給付のための適切な調査を徹底すること。
また、調査に当たっては、別途指示するところにより、保険給付の決定のために真に必要な調査を行うことを基本とし、決定に不要な資料の収集を行わないこと、必要な資料の不足が生じないようにすることなど過不足のないようにするとともに、実地調査は必要なものに限り行うものとし、原則として、文書照会、電話録取等の簡素な手法により実施すること。
さらに、関係資料を収集する際、被災労働者やその遺族等から同意書等を徴する場合は、機微な個人情報を収集することに特に留意の上、保険給付に当たり、真に必要なものに限り同意書等を徴すること。
2 請求人等への懇切・丁寧な対応
被災労働者及びその遺族といった請求人等に対する丁寧で分かりやすい説明の実施については、給付事務手引等により指示しているところであるが、引き続き、これを徹底するとともに、相談等の段階で、調査が困難であることや業務上外の見込み等について言及することは厳に慎むこと。
引き続き、請求書受付後3か月を経過した事案については、給付事務手引等に基づき、請求人等に対し、定期的に処理状況等を連絡する等必要な対応を行うとともに、請求人の心情に配慮した懇切・丁寧な対応を徹底すること。
特に、労災請求に関する相談等において、複雑困難事案に係る認定基準や判断要件のポイントについて、パンフレット等を活用して分かりやすく説明すること。
また、過労死等事案等について、不支給決定を行った場合には、当該不支給決定に対する請求人の納得性を高めるため、支給要件、当該不支給決定理由のポイント、審査請求手続等について、請求人に分かりやすい説明を行うこと。この際、説明を受ける請求人の心情や個人情報に十分配慮すること。
3 不正受給防止に対する的確な対応
労災保険に係る不正受給は、労災保険制度に対する不信を招来し、制度の適正な運営を大きく阻害することにもなりかねないものである。
このため、不正受給を防止するための事務処理等については、給付事務手引により指示しているところであり、特に投書等により不正受給の疑いが生じた事案については、時機を逸することなく必要な調査を実施する等適切な対応を行うこと。特に手引に定める一定の抽出率による文書照会等を活用した調査を定期的に実施し、不正受給の有無の確認に努めるとともに、不正受給の疑いのある事案が発覚した場合は、その時点で第一報を本省に報告する必要があることに留意し、本省への速やかな報告を徹底すること。
また、特別加入者に係る不正受給防止対策については、平成29年12月7日付け基補発1207第1号「労災保険の特別加入者に係る不正受給防止対策の徹底について」に基づく調査や事務処理を引き続き徹底するとともに、保険給付支払日から費用徴収金の時効が進行することに留意し、債権発生通知書による局への報告や不正受給者に対する納入告知の実施等、不正受給に係る調査や事務処理を、局署が連携して速やかに実施すること。
4 労災かくしの排除に係る対策の一層の推進
全国健康保険協会(協会けんぽ)の各都道府県支部から健康保険法の保険給付について不支給(返還)決定を受けた者の情報を得た場合において、被災労働者に対して、労災請求の勧奨を行うとともに、①労災かくしが疑われる場合、②新規の休業補償給付支給請求書の受付に際し労働者死傷病報告の提出年月日の記載がない場合には、速やかに監督・安全衛生部署に対して情報を提供すること。
また、平成3年12月5日付け基発第687号「いわゆる労災かくしの排除について」に基づき、労災保険のメリット制の適用を受けている有期事業の事業場にあっては、メリット収支率の再計算及び返還金の回収等が生じる場合があることから、労災かくしが判明した場合には、局徴収主務課室に対し、速やかに、給付見込額や支払予定時期などの必要な情報を提供すること。
5 労働者性の判断
労働者性の判断については、法人の役員や建設業の一人親方等が一般的に問題となることが多いとされていたところ、昨今では、貨物自動車運送事業の事業者等から荷物の配送業務を請け負った貨物軽自動車運送事業の自動車運転者やフリーランスといった事案も増えつつあることから、より一層、的確に判断する必要がある。引き続き、判断が困難な事案については、適宜、監督部署に協議しつつ、必要な調査や検討の上、判断を行うこと。
6 給付基礎日額の算定
給付基礎日額の算定に当たっては、これまでも的確な判断について指示してきたところであるが、昨今も、固定残業代を争点とする労災訴訟で敗訴する等の事案が見られるところである。このため、特に、被災労働者の勤務実態、賃金支払いの実態等を踏まえ、固定残業代の有効性や管理監督者をはじめとする適用される労働時間制度等について判断が困難な事案については、適宜、監督部署に協議しつつ、必要な調査や検討の上、判断を行うこと。
7 補504報告による報告の徹底及び報道機関等に対する的確な対応
労災請求及び決定の状況について社会的に大きく取り上げられることが予想される事案や、新しい疾病に係る事案など補504報告が求められている事案について、引き続き確実な報告を徹底すること。特に、社会的に大きく取り上げられることが予想される事案は過労死等事案に限るものではないこと、労災請求時に判明しなかったとしても、調査過程において補504報告の対象となることが判明した場合にはその時点で速やかに報告することについて留意するとともに、局においては署の進捗状況について把握し、必要な確認、指示を行うなど、局署における連携を図ること。
局署において、過労死等事案をはじめとして個別の労災事案について、報道機関等から取材を受ける際には、被災労働者及びその遺族等の個人情報保護の観点に十分留意の上、対応すること。
なお、社会的関心が高いと考えられる事案に係る取材等を受けた場合には、速やかに本省へ報告すること。
8 障害(補償)等年金を受ける者の再発に係る取扱い
せき髄損傷などにより、障害(補償)等年金を受ける者が再発した場合の事務処理における留意点については、引き続き平成27年12月22日付け基補発1222第1号「障害(補償)年金を受ける者が再発により傷病(補償)年金又は休業(補償)給付を受給する場合の事務処理上の留意点について」に基づく事務処理を徹底するとともに、再発が多いと考えられるせき髄損傷に係る相談対応に当たっては、「せき髄損傷に併発した疾病の取扱いについて」に係るパンフレットを使用するなどにより、懇切・丁寧な説明に努めるとともに、併発疾病として掲げられていない疾病等であっても、疾病名のみでは判断せず個別に主治医や専門医に対して意見依頼を行うなど、事案ごとに適切に因果関係を判断すること。
第6 労災診療費等に係る事務処理の留意点
1 労災診療費の的確な審査の実施等
労災診療費算定基準の改定については、令和8年3月中に改定通知を発出し、同年6月からの適用を予定しているので、改定内容について労災保険指定医療機関等に対してあらゆる機会を捉えて周知徹底を図ること。
特に、労災診療費算定実務研修は改定内容を労災保険指定医療機関等に周知する重要な機会であり、各局が主体となって都道府県医師会や労災保険情報センターと調整を行った上で確実に実施すること。
また、会計検査院が局に対して行う実地検査においては、医療機関からの誤った請求に対する審査が十分でなかったことによる指摘を例年受けており、誤請求の多い医療機関に対する個別指導の実施等を通じて、的確な審査体制の構築と誤請求の防止に取り組むこと。
なお、オンライン請求されているレセプトの中で、特に誤請求の多い医療機関については、本省で必要な情報を抽出したう上で情報提供するので、優先的に個別指導を実施すること。
診療費の「局保留」に関する各局の状況は定期的に本省より情報提供する予定としており、「局保留」が高額で推移している局は、追って指示するところにより、事務処理の効率化を図り「局保留」の積極的な解消に努めること。
2 労災保険指定医療機関の指定申請の勧奨
被災労働者が費用を負担することなく療養を受けるためにも、これまで労災保険指定医療機関の指定勧奨に取り組んで来ているところであるが、令和6年度においては、医療機関数の減少等を背景に労災保険指定医療機関件数が減少する状況となっている。
局においては、引き続き、労災保険指定を受けていない医療機関に対し、労災保険指定医療機関制度の周知に努めるとともに、被災労働者が労災保険指定医療機関以外の医療機関を受診して、療養(補償)等給付たる療養の費用請求書を提出した場合は、当該医療機関に対して指定申請を行うよう積極的に働きかけること。
なお、医療機関の負担軽減の観点等から実施している「労災診療費被災労働者援護事業」(実施機関:(公財)労災保険情報センター)は、労災保険指定医療機関の指定を受けるメリットの1つであることから、労災保険指定医療機関の指定申請の勧奨を行う際には同事業の周知も併せて行うこと。
3 労災レセプトオンライン化の普及促進
労災レセプトのオンライン化については、令和7年6月16日付け基保発0616第2号「労災レセプトのオンライン化に向けた普及促進事業等について」(以下「普及促進通達」という。)にて示したとおり普及促進に取り組んでいるところであるが、令和7年10月の普及率(レセプト請求件数に占めるオンラインレセプト請求件数の割合)は46.8%となっており、更なる普及に取り組んでいく必要がある。
このため、地区医師会等関係団体との会合や新規労災指定時の説明会等あらゆる機会を活用した労災レセプトのオンライン化の勧奨や、労災レセプト請求件数が多い労災指定医療機関等に対する個別訪問等、普及促進通達において指示している取組を確実に実施すること。
また、令和8年度からは2か年にわたる事業実施を予定しており、導入支援金の申請期間を長く設けることや、導入支援金の申請を容易にするための機能をWEB上に追加すること等、普及に資する取組を検討している。この令和8年度からの事業実施については、適宜情報提供を行う予定であるため、普及促進通達で指示している取組の実施に当たっては、その内容に留意して対応すること。
第7 費用徴収と第三者行為災害に係る納入督励等の外部委託
1 費用徴収
労災保険法第31条第1項に基づく費用徴収に係る事務処理に当たっては、署における支給決定を行う際に保険料の納付状況の確認、局における滞納事業場リストや労働者死傷病報告提出事業場リスト等の情報の定期的な把握を徹底し、署からの報告に漏れがないか確認する等、引き続き費用徴収の取扱いに関する組織的な管理及び適切な事務処理を徹底すること。
2 第三者行為災害に係る納入督励等の外部委託
納入督励及び債権回収に係る外部委託事業並びに第三者行為災害事案に係る支給調整等事務の外部委託事業については、現在の委託契約が令和7年度末をもって終了する。令和8年度以降においても、弁護士又は弁護士法人を受託者として事業を継続して実施する予定であり、次期受託者が決定次第、事務処理に係る留意事項等を通知するので、効果的かつ効率的な事務処理のため、積極的に活用すること。
第8 特別加入制度の周知・広報等
近年、働き方の多様化に伴い、特別加入制度についての社会的な関心が高まっており、本省において、関係省庁、関係団体へのパンフレットの送付や、厚生労働省ホームページで特別加入制度関係の紹介ページを掲載する等により、特別加入制度の周知・広報を実施しているところである。各局においても、様々な機会をとらえ、積極的に周知広報に努めるとともに、特別加入制度の照会等が行われた場合は、適切に対応すること。
特に特定フリーランス事業に係る特別加入制度については、リーフレットや厚生労働省ホームページに掲載している特別加入制度の案内、特別加入団体等を活用した積極的な周知を図るとともに、局雇用環境・均等部(室)やフリーランス・トラブル110番等におけるフリーランスからの相談対応の中で、関係部署と連携した相談者に対する丁寧な相談対応を行うこと。
第9 行政事件訴訟等に当たっての的確な対応
1 行政事件訴訟の敗訴を踏まえた対応
令和7年度における訴訟追行状況をみると、裁判所においては認定基準等所定の枠組みに沿った判断がされつつも、事実認定について行政の評価とは異なる評価が行われ、敗訴する事例が依然として認められる。
このような状況も踏まえ、訴訟追行に当たっては、引き続き、平成22年8月4日付け事務連絡(最終改正:令和2年3月16日)「労災保険に係る訴訟に関する対応の強化について」に基づく的確な訟務の追行の徹底を図ることとし、労災補償課長による適切な進行管理のもと、事業場や関係者への補充調査の結果や、医学意見書などの客観的な証拠に基づき、裁判所の理解が得られるよう、的確な主張・立証を行うこと。
特に、地方労災医員を含め医師に意見を求める際には、意見の内容がより客観的かつ一般的な医学的知見を踏まえたものとなるよう、証拠としての信用性に留意した上で依頼すること。
2 敗訴等事案の情報共有
敗訴等事案について、引き続き情報提供を行うので、局管理者は、各種会議や職員研修等の機会を捉えて、署管理者をはじめとする労災部署の職員に対して説明し、共有を図り同種事案の発生を防止すること。
3 決定に長期間を要する審査請求事案の早期解消と抑制
審査請求に係る新規請求件数は増加傾向にあり、決定に長期間を要する審査請求事案の件数も増加している。
このため、労災補償課長は、「労災保険審査請求事務取扱手引」第3部のⅢ「局管理者における取組み」を踏まえ、迅速な処理を念頭においた適切な処理計画の策定を確認するとともに、毎月、事案ごとに処理状況を把握した上で、処理が遅延している場合には、その原因を明確にした上で遅延を解消するために必要な助言・指導や組織的支援を行い、適切な進行管理のもと迅速処理に努めること。
また、原処分庁たる署においては、原処分に対する請求人の納得性を高めるため第5の2「請求人等への懇切・丁寧な対応」を踏まえた分かりやすい説明を行うほか、局においては、労働者災害補償保険審査官(以下「審査官」という。)が審査請求事件を処理する過程で把握した原処分庁における調査不足等の問題点については、課長会議等各種の機会を捉え、同種の問題が繰り返されることがないよう、署に対し適切な指導を行うこと。
4 審査請求事案の公正な処理審査
審査官は、的確に争点整理を行った上で審理に必要な資料の収集等を確実に実施することにより、迅速・公正な審査決定を行うこと。補充調査等により、新たな事実関係が判明したなどの場合は、法令、通達等に照らした上で、原処分の適否を判断すること。
第10 地方監察の的確な実施等
地方監察は、関係法令、通達等に基づく事務処理の実態を的確に把握し、迅速・適正かつ効率的な事務の運営とその水準の維持・向上を図るとともに、公正妥当な基準に基づき客観的に検査、評価することにより行政の斉一性を確保することを目的としている。その上で、地方労災補償監察官及び労災年金監察官(以下「監察官」という。)は、地方労災補償監察官監察指針を踏まえた計画的かつ効果的な監察を実施すること。
特に、是正改善を要する事項については、単に指摘するのみならず当該問題の生じた背景、原因を的確にとらえた対応策を検討の上、その根拠となる法令、通達等を示すなど具体的な指示・助言を行い、確実に是正改善させるとともに、その後も適正な事務処理が行われているか継続して確認すること。
さらに、監察官は監察及び日常の業務指導において、効果的、効率的な取組事例を把握し、署における適切な業務運営の確保に努めること。
また、地方監察結果と併せ、令和7年度中央監察結果については、局署が実際に行っている事務処理状況を的確に把握した上で、自局の取組状況と照らし合わせて問題点等の有無を検証し、改善すべき事務処理等が認められた場合には、翌年度の業務実施計画、監察計画等に確実に反映させること。なお、当該監察結果は各種会議や研修等の機会において積極的に活用し、労災補償業務を担当する職員等に周知・徹底することにより、適正な事務処理を定着させること。
第11 外国人労働者への懇切・丁寧な対応
1 外国人労働者に対する周知及び請求勧奨
外国人労働者については、制度不知による請求漏れのないよう、きめ細かな対応を図るため、「(日本で働く外国人向け)労災保険請求のためのガイドブック」(13言語※1)等を活用した労災保険制度の説明を行うとともに、窓口相談に際しては、「外国人労働者相談コーナー」、「外国人労働者向け相談ダイヤル」及び「労働条件相談ほっとライン」(13言語※2)も適宜活用すること。
また、平成31年3月26日付け基監発0326第1号・基安安発0326第3号・基安労発0326第1号・基安化発0326第1号・基補発0326第1号「外国人労働者が被災者である労働災害に関する労災保険制度の周知等の対応について」に基づき、監督・安全衛生部署において被災者が外国人労働者である労働者死傷病報告を受理した場合は、当該報告の写しが労災部署に提供されるので、事業主に労災保険制度の説明を行い、労災保険給付の請求を勧奨するとともに、外国人労働者に対する説明を依頼すること。
※1対応言語:英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、ベトナム語、ネパール語、ミャンマー語、韓国語、タイ語、インドネシア語、カンボジア語、ペルシア語
※必要に応じ対応言語の種類を増やす予定。
※2対応言語:英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、ベトナム語、ネパール語、ミャンマー語、韓国語、タイ語、インドネシア語、カンボジア語、モンゴル語
2 外国人技能実習生に対する周知及び請求勧奨
外国人技能実習生及び特定技能外国人に対する労災保険制度の周知については、平成29年10月27日付け基補発1027第2号「今後の技能実習生の死亡災害に関する労災保険給付の請求勧奨等について」等に基づき、引き続き請求勧奨に努めること。
第12 個人情報等の厳正な管理
1 特定個人情報の適切な取扱いの徹底、適正な個人番号登録事務の実施
労災年金たる保険給付等に関する事務における特定個人情報等の取扱いについては、「労災保険給付等個人番号利用事務処理手引」(最終改正:令和7年3月31日付け基発0331第4号。以下「手引」という。)において指示しているところである。
特定個人情報等を取り扱う職員等に人事異動等があった場合の事務取扱担当者名簿の更新及びユーザ情報の登録・変更や、研修の速やかな受講、ユーザ情報の登録等を行う際は、事務取扱担当者の中でも番号システムを使用する者に限定してユーザ情報の登録を行うなど必要最小限の範囲で権限付与する等、引き続き手引に定める事務処理を徹底すること。
また、特定個人情報が記載された請求書等の書類が編綴されたファイルは、盗難又は紛失等を防止するために、施錠することができる所定の書棚に保管すること。
なお、個人番号の登録について、支給決定後に行っている事案が散見されているため、手引に基づき、原則として支給決定前に登録を行い、決裁等の際は個人番号の登録内容に誤りがないか、複数人での確認を徹底すること。
2 石綿関連文書を含む行政文書の適正な管理等
石綿関連文書の保存については、平成27年12月18日付け地発1218第4号・基総発1218第1号(最終改正:令和4年3月24日)「石綿関連文書の保存について」に示された取扱いを確実に実施するとともに、令和6年7月4日付け基総発0704第1号・基安労発0704第2号「石綿関連文書の管理の徹底について」に示された、石綿関連文書の管理状況の点検を少なくとも年度ごとに1回実施し労働基準部長に報告すること等を通じて、引き続き、その適正な文書管理を徹底すること。
また、令和6年9月27日付け総務課長補佐(総務・広報担当)事務連絡「労働基準行政にかかる行政文書の電子的管理について」に基づき、個別の事情により電子保存が困難である場合は、引き続き紙での保存又は電子及び紙での保存として差し支えないが、それ以外の行政文書(石綿関連文書を除く。)については、積極的に電子的管理を推進すること。
3 労働基準行政システム等における情報セキュリティ対策
労災補償業務の遂行に当たっては、労働基準行政システム等(以下「基準システム」という。)の利用が不可欠であるが、昨今行政機関や民間企業等を標的としたランサムウェア等のサイバー攻撃が相次いで行われている。
基準システムをこれらの脅威から守り、国民に対するサービスを安定的に提供するために、基準システムにおける技術面の対策だけでなく、これを利用する職員における意識及び行動面の対策も確実に講じられなければならない。
ついては、令和7年1月14日付け基発0114第1号「労働基準行政システム等管理規程の改定等について」、令和7年1月14日付け基保発0114第2号「労働基準行政システム等情報セキュリティ対策実施手順書の改定について」等に従い、以下の事項を中心に情報セキュリティ対策を徹底すること。
(1) インターネット及び電子メール
インターネット上の情報や電子メールに添付されたURLリンク及び添付ファイルには、マルウェアが仕掛けられているおそれがあることを意識すること。情報セキュリティインシデント(おそれ又はその可能性を含む。)を認知した場合は、手順に従い速やかに報告等の対応を行うこと。
(2) ユーザID及びパスワード
現行のThinClient端末では、執務室外における利用が可能となっていることを十分に認識の上、電子媒体の場合は暗号化し、紙媒体の場合は施錠して保管することユーザID及びパスワードを厳重に管理すること。
また、パスワードは、ユーザIDと同じものとしないこと及び他人に知られないものに設定すること。パスワードを保管する場合には、電子媒体の場合は暗号化し、紙媒体の場合は施錠して保管すること。
(3) 外部電磁的記録媒体
外部電磁的記録媒体を経由したサイバー攻撃等を防止するため、登録簿・貸出許可簿により管理するとともに、FatClient端末によるウィルスチェックを確実に行うこと。